兄貴の想い
その奇妙な初デートからしばらくたち、私もすっかり彼女のことを忘れかけていた。
いつものように夕飯前にヒデと私はテレビゲームにかじりつき対戦をしていた。
大人気ないヒデは9つ年下の私に手加減せずにいどんでくる。
そして私が必ず負けていた。
負けず嫌いの私はいつも父に泣いてすがりつく。
『ヒデ…少し手加減してやれよ。』
父が困った顔でヒデに言う。
『わかったよ。ミサ、もう一回やろう!』
『どうせ泣くんだからもうやめなさい!』
母が怒鳴る。
そして私は泣き続ける。
で、みんなは笑う。
これが我が家の毎日のお決まりの光景だった。