君色 **空色**
「んじゃ、学校でって…降りてくれるの?」

「ん?あぁ、別にどっちの駅でも良いから」


一緒に降りてくれるなんて、思ってもいなかったので思わず驚いて見返してしまう


「な、なんかありがとう」


そう言って、私は彼と共に電車を降りた

改札を抜けて外に出ると、外に広がるのは真っ青な空

そうして隣に並ぶのは、青いダウンの彼

不思議な事に、最近私は青い空を見ても胸を苦しくする事はなかった

むしろ、温かい気持ちになるのはどうしてだろうか?

空を見て思い出すのは、なぜかあの人でなく隣に並ぶこの人だ


考えるモードになっている思考を振りほどくためにも、私はぼやくように呟いた


「あーあ。こんな事なら、昨日もっとちゃんとチャイ語覚えておくんだったなぁ…」


そう言いながら伸びのポーズをとると、彼に苦笑されてしまう


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