起床
起床
冬の真っ只中。馬鹿丸出し、ハンドタオルみてえな小さい布団に包まって。



――どでかい南国の海に浮き輪で浮かんでいた。空には大きなお日様、ああ、お星様も綺麗。


ふ。


何で同時に出とるねん、馬鹿な風景だ。何を怒らせたか、途端に浮き輪が大揺れ。メーデーメーデー、転覆寸前。どうやらエベレスト級の大波が、俺を迎えに来たそうです。

俺は目を瞑り、飲み込まれるんだなと、ちょびっと笑った。目の前が真っ白になるんだなと、なんとなく思った。でも次の瞬間、頼りない花柄の浮き輪が真っ青なサーフボードに変わって。

逃げるように勝手にサーフボード。すぐ後ろのビックウエーブはその図体を増し、二、三度振り返った時には空に届いてた。

おい、待て、話が違うだろうなんて。

逆行けば、もしかしたら空に行けるんじゃないかって。

ちょっと緊張しながらも、初心者では無いからして、乗ってやろうじゃないかなんて気になった。心の準備、完了です。俺はサーフボードを漕ぎ出して。航路反転。もう空なんて、とうに越えてる波の中へと突き進んでいく――。


は。


気付けばこれでもかという勢いで、強く寝返りを打っていた。案の定のこと頭になんか当たる。アオたん出来たよ。これ、きっと腫れあがるね。寝ぼけながら意識半分、隕石の正体を確かめてみるに、半年近く鳴っていない目覚まし時計。

目、サマセ。目、サマセ。

アホみたいにぽかんと閉じ忘れた口に、朝日が入ってくる。喉の奥もいよいよ水不足。メーデーメーデーと急かします。六畳一間に何もない。何だか笑けてくる。眠たいよ。


メーデーメーデー。

目を閉じると再び夢見心地。あの波が迫ってくる。




――。
























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