紺碧の地図
素直じゃないイズラの反応に、私は思わず苦笑した。
本当は、イズラだってわかってるはず。
「みんな、イズラにあきらめて欲しくないんだよ。"ラー"が人助けしちゃいけないなんて、誰が決めたの?」
イズラがゆっくりと、私たちの顔を見渡した。
そして、フッと瞳を細めて笑った。
「…本当お前ら、わけわかんねぇよ」
イズラの呟きに、私たちは顔を見合わせて微笑んだ。
…私だけじゃないんだ。
ゼンもニーナも、家族を亡くした。
辛いって気持ちは、同じなんだ。
だから、私たちは光を求めて旅を続けるの。
その先にある光を信じて―――…
「…おい、ちょっと待て」
イズラが闇市場に視線を向け、眉をひそめた。
「何か様子がおかしい」
私たちはガラスに近寄ると、闇市場の様子を観察した。
確かに、司会者が誰かと深刻な表情で話していて、観客はざわめいている。