紺碧の地図

「そこで、王女サマに偶然見つかって…」


「友達になっちゃったってワケ」


アランの言葉を、シーザが次いだ。


…てゆうか、友達って…何で?


「泣いていたのだ。わたしが」


「え?」


アルザが口を挟んだことで、私はアルザに視線を移した。


「たまたま泣いているところを見られ、慌てたアランがわたしを慰めにかかった」


「ははっ。やー、だってまじ焦ったんですもん」


「盗賊に慰められている自分が滑稽に思えて、涙は引っ込んだがな」


三人はお互いに顔を見合わせると、苦笑した。


「わたしが見逃す代わりに、いろいろと世話になったんだ」


「…世話?」


「王宮から外にあまり出れなかったから、外のことを教えてもらったりした」


それで外に行きたくなり、脱走するようになったんだがな、とアルザは付け加えた。


「ま、それがきっかけでオレらも足を洗ったし。万々歳っすよ」


「そうそう」



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