紺碧の地図

「うん。ごめん…びっくりしただけ」


「ほら!ララちゃんが混乱すんだろー!?」


「あーもうレキうるさい!」


心臓の鼓動は、私の心を何度も打つ。


鈍った思考の中で、反射的にゼンに視線が向いた。



―――――ゼン。



目が合うと、ゼンは微笑んで。


やっぱり悲しそうに笑うから…耐えられなくなった。


「え、ララ!?」


ニーナの制止を振り切って、私は外へ飛び出した。


…考えたくない。何も。



無意識に辿り着いたのは、あの小さな丘。


一気に駆け上がると、私は肩で息を切らす。



沈みかける太陽が、辺りをオレンジ色に染めていた。


その光を見た瞬間、私の中で何かが崩れた。


「………っ」


堪えられたのは、一瞬で。


次々に溢れ出す涙を、私は止めることが出来なかった。


私はその場に崩れ落ちると、大きな声で泣き喚いた。


…心の痛みを、消し去りたくて。


< 493 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop