紺碧の地図
「ん…ララ?」
「おはよう、ニーナ」
瞼を擦りながら、ニーナがゆっくりと体を起こす。
そしてすぐに、目を見開いた。
「……あんの、バカ…!」
「へ?何…ニーナ?」
ニーナの形相が鬼のように変わったかと思うと、乱暴に布団を退かし、窓際に近づいて行く。
その姿を追ってようやく、ニーナの態度の理由がわかった。
「~何やってんのよバカレキ!!」
…レキが、窓の外に張り付いていたから。
ニーナが勢いよく窓を開けると、レキがバランスを崩した。
「ちょっ、危なっ…ここ二階だぜ!?」
「その二階で何やってんのよあんたは!! 覗き!?」
ニーナの吠えるような怒声に、レキは顔をしかめた。
「あ~近所迷惑ですニーナさん。てかアホか覗かねぇし…ララちゃん!」
レキが私を視界に捉え、パッと顔を明るくさせる。
「おはよう…レキ」
その姿が犬みたいで、私は思わず笑ってしまった。