しょうがい
以上がこの日に起こった全ての災難、そして1メートル9センチの隔たりが、僕と家族の間に生じはじめた日である。最初の頃は薄々感じられていたその隔たり。しかし時間を重ねるごとにそれは徐々に大きくなっていき、今ではとてつもなく大きなものへと成長している。

僕はそんな家族(養親)を嫌っているわけではない。ましてや憎んでもいない。ただ、今までこの事実を黙っていたこと、そしてそれにより血はつながってもいないのに普通の家族を演じていた父、母のことが許せなかったのだ。

補足として言っておくが、僕は例の実母に会ったことはその日以降一度もなかった。さらに言えば、なぜその日に実の母が僕の前に現れたのか、それすら謎であった。




僕はいつの間にか目を閉じ、まるで自らが本当に過去へとジャンプしたかのような、そんな錯覚に陥った。しかしもちろんそれはただの錯覚で、実際には僕はコンビニの前で古い友人と話をしている最中であった。それもひどく重大な話を。

「おい、どうした?」

北沢は僕が黙って目を閉じていたことに対し、少しだけの心配と疑問を込めて言った。

「いや、何でもないよ」

僕は他人に対しこの古き思い出を語るつもりはなかった。それというのも、僕が実は養子だということは学校の連中は誰も知らないのだから。親友にも幼馴染みにも、きっとこの先でさえ誰にも喋りはしないだろう。
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