魔王に忠義を
序章
ドーラで竜の断末魔のいななきが轟いた日。
その光景を遠くから見つめる青年がいた。
薄青い長髪、黒い外套。
口元まで外套で覆い隠している為、表情ははっきりとは見て取れない。
しかしその鋭い眼光だけが、ひたすらに竜の咆哮の聞こえた先を睨みつけていた。
…その断末魔の主は、汚竜といった。
ドーラの環境汚染により突然変異を遂げた、はぐれ竜。
その力も、その容姿も、その能力も。
この世界に住む竜種とは比較にならないほどの魔物。
ドーラの民にとっては紛れもなく滅亡をもたらす者。
ファイアルの民にとっては紛れもなく名を挙げるに相応しい獲物だった。
ならばこの青年にとって汚竜は何なのか。
「チ…」
小さく舌打ちして、青年は踵を返した。
その光景を遠くから見つめる青年がいた。
薄青い長髪、黒い外套。
口元まで外套で覆い隠している為、表情ははっきりとは見て取れない。
しかしその鋭い眼光だけが、ひたすらに竜の咆哮の聞こえた先を睨みつけていた。
…その断末魔の主は、汚竜といった。
ドーラの環境汚染により突然変異を遂げた、はぐれ竜。
その力も、その容姿も、その能力も。
この世界に住む竜種とは比較にならないほどの魔物。
ドーラの民にとっては紛れもなく滅亡をもたらす者。
ファイアルの民にとっては紛れもなく名を挙げるに相応しい獲物だった。
ならばこの青年にとって汚竜は何なのか。
「チ…」
小さく舌打ちして、青年は踵を返した。