魔王に忠義を
「貴様ら、犯罪者を庇うつもりか?」

いきり立つライスト軍人達。

そのサーベルが、アキラ達にまで向けられようとする。

それを遮るように。

「魔王に忠義を!」

封印の地に響き渡るような声で、高らかに俺は宣言した。

「世界の危機の為に魔王討伐に尽力しただと?ハッ」

俺は嘲笑うかのように言った。

「聞いて呆れる…俺が魔王…いや魔王様を封印へと戻したのは、この場で復活させては魔王様に甚大なダメージを与えられかねないと判断したからだ。そこの火の玉をはじめとする連中は、何を勘違いして俺を擁護しているのか知らんがな」

「ヴァン…!」

アキラが俺の名を呼んだ。

その声に怒りや憎しみはない。

小僧の癖に奴はなかなかに賢い。

俺の言葉の裏に秘められた真意に気づいているようだった。

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