魔王に忠義を
その竜巻が一体その後どうなったのか、俺に知る術はない。

気がつくと、俺はライストに程近い林、その木陰に寝かされていた。

「……」

外套は脱がされ、上半身は裸。

その上半身には、アキラから受けた刀傷がしっかりと手当てされていた。

傍らには俺のチェーンソーブレード。

こちらは破損したままだが、俺の持っている工具で何とか修理可能な範囲だった。

…周囲を見渡す。

特に身の危険は感じない。

アキラやナハトの姿も、俺を捕縛しようとするガーディアンの姿も見受けられない。

ただ暖かな日差しと、心地よい風だけがそよいでいる。

傷口を保護する包帯に手を当てながら、俺は体を起こした。

なかなか上手い手当てを施されている。

包帯の巻き方も上手い。

「でも無理はしないでね、所詮はアイスラ人のような医療知識のない、通りすがりのフーガの小娘の治療だから」

「!」

突然の声に身を硬くして振り向く。

そこには。

「お目覚めみたいね」

髪の長いフーガ人の娘が立っていた。

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