魔王に忠義を
アイシャの心中は察するが、いつまでもここで止まっている訳にはいかない。

魔王復活を阻止するのならば早く封印の地に向かわなければ。

しかし。

俺はブレードの燃料を確認した。

ここまで戦闘が続いて、相当に燃料を消費してしまっている。

本来ならば先程ネルスに投げつけたガソリンを補給する予定だったのだが…。

生憎と予備のガソリンはあれでオシマイだ。

残りのガソリンで、ブレードがいつまで動くのか。

…まぁ、過ぎた事を言っても始まるまい。

俺はブレードを鞘に納めてアイシャを見た。

「アイシャ、先を急ごう。風の魔法で…」

言いかけて、彼女がじっと一点を見つめている事に気づいた。

「どうしたアイシャ」

「ねぇ…ヴァン」

アイシャが眉を潜める。

「何か…こっちに近づいてきてる」

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