魔王に忠義を
アイシャはまず順を追って、こちらの陣営の状況を説明する。

俺が既に秘密結社の人間ではない事、魔王復活を阻止する為に現在封印の地に向かっている事、ナハトを狙う理由は最早こちらには存在しない事。

その上で、アキラ達が何故この場にいるのかを問う。

「ガーディアンに…協力を求められた…魔王復活阻止に…少しでも助力は必要…」

アキラに代わってナハトが説明する。

「なら!」

アイシャがパンと手を叩く。

「私達の目的は一緒じゃない。この際だから共闘なんてどうかしら?」

「馬鹿な事を…」

俺は額に手を当てた。

どこの世界に、つい先刻命を狙ってきた相手と手を組むお人好しがいるのか。

フーガの民とはここまで考え無しの人間なのだろうか。

「だってその方が効率いいじゃない。アキラ君だってヴァンだって、魔王が復活するのを後回しにしてこの場で決着つけたいなんて、そんな順序のおかしい事は言わないでしょ?」

アイシャの癖に、そんな生意気な正論などを吐いたりもする。

「……」

「……」

睨み合う俺とアキラ。

正直この場で組むのには抵抗がある。

しかし。





< 83 / 107 >

この作品をシェア

pagetop