かみさまごっこ

4.ラストダンスが終わる頃

病院を訪れた日の事でした。花束を持った方が走って来ました。

ぶつかりそうだったので咄嗟に避けました。そして、何も言わずに走り去って行きました。

あの角は確か重篤な方の病室だったような……だからなのでしょうか。

すれ違った際に見えた表情は嬉しそうな、だけど少し哀しそうな物でした。

暫くこの病院に通う事になっていましたし、数日の間はあの病室辺りの患者さんを診る事になっています。

なのでもしかしたらまた会うかもしれません。


「もう2度とあんな事はしないでね?」

「…………?」

「勝手な蘇生」

「安心して下さい。私の意思でやる事はもうありませんから」


翌日の休憩時間での出来事でした。南雲さんとお茶をしている時に注意されました。

何を今更という感じでもあったのですが、蘇生なんて私自身命令がなければ絶対にやりません。


「……志那ってもしかして」

「……?私がどうかしました?」

「恋しているかと思っただけ。さ、行っておいで」

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