パンデミック
「井上教授、やはり体内で100℃を超えるようなことが起これば…」

「あぁ。フツーの人間じゃすぐに即死だ。別の方法を考えないと。」

親父は首をかしげた。

「教授、宮崎県のある研究所で5℃以下にすると細菌の繁殖がストップする結果が得られてます。」

「5℃って言ってもなぁ…。」


―大阪中央病院―

「城島先生、また新しい患者が…」

「ダメだ…もう呼吸器の数が…」

(ガコンッ)

病室に新しい患者が運ばれてきた。

「田中…その子の呼吸器を外せ…。」

「えっ?」

城島先生は田中医師に言った。

「…その子はもうダメだ。」

(…スーハー…スーハー…)

小学生くらいの子どもは安らかに呼吸をしている。


「…で…できません。」

「くそっ!!」

(ガバッ…)

城島は呼吸器を外し新しい患者に付けた。

「…城島先生…」

「わかってるよ!!でもこうでもしないと…」

(ピーーーー…)

呼吸器を外して間もなくその男の子は死亡した。

「作業を続けろ…」


「城島先生、また新しい患者が…」

「…もうダメだ…」

「あの…それが妊娠しているんです。」

(…!!!)
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