心 ―ハジマリノウタ―
そのとき、私の目の前を黒い影が過ぎった。
次の瞬間、
何かが空を切る音と共に主の叫び声が聞こえた。
「あああッ!」
といきなり、後ろから
悲鳴が上がった。
耳障りで、嫌な音だ。
「なんだ、貴様は?!
ど、奴隷ッ!
早く私を守れ!
早く・・・早く前に立てッ!!」
私は主に向き直り、
守ろうとした。
私に背を向け、
影に向かい合っている主の背中は、
黒い服が方から腰の辺りまで破け、
その露になった青白い肌には
赤い線が一筋、薄く入っている。
私は主と影の間に立った。