心 ―ハジマリノウタ―
「早く探した方が良いかもね。
リオンのためにも、
ユアちゃんのためにも…」
そして俺のためにも、と言って
フェイクは右手で
私の頬に触れようとした。
しかし、それは風のような感触しか残さない。
彼は、私に触れられないのだ。
切なげに微笑むと、
フェイクは、最後に
「君は絶対に、
俺の元へ来るよ。
待ってるからね、お姫様…」
そう言い残して、
廊下の影に消えていった。
きっと彼はもう此処には居ない。
私は、フェイクが消えた方とは
逆方向へ走りだした。