白球ノート

2年生 8月26日



今日から地区大会が始まる。

緊張でスコアを書く手が思わず震えたよ。


ジャンケンで決めたスコア書き。

今日は私が書く事に決まった。


次の試合はサオが書く。


交互に書いて、
同じ数ベンチ入り出来るといいな、なんて考えながらスコアブックを開いた。


この地区大会は春の選抜に向けての大事な試合。


それにこのメンバーで初めての公式戦。


今日初めて背番号を付ける選手もいる。


そんな中誰よりも輝いていたのは
エースナンバーをつけたヒデだった。


やっとの思いで手に入れたエースナンバーは一段を輝いていて、
1番を背負いマウンドに立つ姿はどんなバッターでも
三振にしてくれそうな気さえした。


その姿にサオと2人で目を潤ませたよね。


ヒデの努力をいつも見守ってきた。


特にサオは一生懸命投げるヒデの横で、
常にタオルを渡して、
肩が壊れないようにアイシングしていた。


だからこそサオの目に溜まった涙につられた。


ヒデの球はスピードがある。


先輩にも負けないくらいのスピードがあった。


でも上手くいかないコントロールに悩む日々。


そのヒデを支えたのが1年生の頃からずっとバッテリーを組んで来たサクちゃん。


ミットを構えて、ヒデのボールに指示をだす。


サクちゃんの構えた場所から外れるとヒデはすごい悔しがってた。

でも同じようにサクちゃんも悔しがるんだよね。


私の横でサオも悔しそうに眉間にしわを寄せていて、
私はその3人の姿によく笑ったよ。






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