幸せの契約
「鈴様?」


声にハッとして顔を上げる
ティーセットの乗った銀トレイを持った犬居さんが立っていた


洗礼された動きで薫り立つ紅茶を淹れる


「なにやら、お疲れの様子でしたので薫りのよいベリーティをご用意いたしました。

ミルクとシュガーで疲れもとれ、温まりますよ。」



詳しい知識
積み重ねた長い下積み時代

犬居さんの入れた紅茶がこんなに美味しくて、心が温まるのは


犬居さんの努力の結晶



その全てを私が奪ってしまうかもしれない


とろけそうな位優しい色の紅茶に滴が波紋を作る


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