幸せの契約
「頼む。」


そんな目で見ないでよ


さらに私の手を握る


力じゃ敵わない

「わかりました。」

今だけ我慢すればいい


私は渋々手の力を抜いた



「ありがとう。」


子供のように微笑む大和さんは仮面で隠されてても分かる


かなりの美形だ


「ただし!
私は大和さんと婚約したわけじゃありませんからね!」


私の訴えに
クスクス笑う大和さん


「わかってるよ。
でも…

君は絶対俺を好きになる。」



「はぁ?
んなわけないじゃん。」


キザなセリフに寒気がして本音が出た


「あるよ。
まぁ、それはまだ先の話だが。」



だから
あり得ないって言ってるじゃん


「じゃ、そろそろ失礼するよ。
君のバトラーによろしく。」



大和さんはそれだけ残して去って行った




何なんだ…



なんか一気に疲れた…



帰りたい




なんだろう
急に犬居さんの
顔が見たい




私はフロアから出ようと
ドアに向かった
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