Sweet Kissとラブカプチーノ【LOVEドロップス企画参加作品】
柊二……覚えててくれたんだ。
まだ付き合いたての頃、アタシがすごく欲しがってたハートクロスネックレス。
クロス部分にハートがかかってて、そのままつけてもいいし、ハートをとってクロスだけでも使えるものだった。
ただ、高校生のアタシには手の届かないもので……。
卒業してバイトをしてから買おうと思ってたんだ。
あの頃は、そのネックレスを彼からもらうと幸せになれるってうわさがあったからすごく欲しかったけど、今はそんなうわさすら消えていた。
でも、アタシは可愛らしさと使えるネックレスだと思ってずっと欲しかったんだ。
柊二はそれをちゃんと覚えててくれてたんだ――。
「梓ちゃん、こっち来なよ」
気づくといつの間にか白いシャツに黒のエプロン姿のカズさんが後ろに立っていた。
「あれ……彼女さんは?」
溢れる涙を手で拭ってカズさんを見る。
「帰ったよ。オレ、これから仕事だし……柊二、休憩室にいるから行ってきなよ」
カズさんがアタシに耳打ちするとアタシは荷物とネックレスを握り締めてスタッフルームに飛び込んだ。