職場内恋愛
帰りの車の中
ふと、助手席を見た。
『……………なんでだろっ』
なんでだろう。
今まで、左隣に誰もいないことは当たり前だったはずなのになんでか空っぽの助手席を見ると虚しいキモチになる。
「優作さん」
俺のほうを見てニコッと笑う奈々の笑顔がまだ、忘れられないんだ。
当たり前か。
別れたのはつい、昨日のことなんだもんな。
そう簡単に、忘れられるワケがない。
それに、京地に言っちゃったし。
『奈々のことは諦めない』
って。
もちろん、諦めるつもりはまったくない。
と、いうかアイツ以上に好きになれるヤツなんていないと思うんだ。
奈々は、どう思っているのか分からない。
でも、俺は好きだ。
どうしようもないくらいに。
そんなことを思いながら俺は車を発進させた。