職場内恋愛

進路






『ほとんどのヤツはまだ受験なんて先じゃん、

って思ってるかもしれないけどあっという間だから~


志望校決まってないヤツは将来の夢でも書いとけ~』


ある日のHR


生徒たちはぶーぶー言いながらも何やら用紙に書いている。

その中でもアイツだけは俺をじっと見ていて。


机の間をぬって京地の後ろに立つ。



『なんか文句でもあんのか?』

そう聞くと



「別に」


なんて素っ気ない返事が返ってきて。



『何キレてんだよ?』

俺は腕組みをして京地の後ろ姿を見つめる。



「キレてなんかないし。

ただめんどくさいな、って思ってただけ」

京地はチラッと後ろを振り返り、ペン回しを始めた。



『そう言わずに書けよ。

俺も中3のときはそう思ったけどさ、
結局みんなが通る道なんだから。


めんどくさいって言葉で逃げるなよ』


はぁ…と京地が溜め息を漏らす。



「逃げる?

誰に向かって言ってるワケ?」


京地は完全に俺のほうを向いた。



『お前に決まってるだろ』


そう言うとかなり鋭い視線が俺に突き刺さる。



「逃げてなんかない」








< 281 / 425 >

この作品をシェア

pagetop