職場内恋愛





「ねー…ホント、あたし、どうすればいいのかなぁ…」


京地はビックリするほど切なげな目で俯いていた。



『京地はさ、相原のこと、忘れたいワケ?』


しばらくの沈黙のあと、京地が言った。



「忘れたくなんてない。

だけど…忘れるべきだと思う。


勉強してても、賢のことがいつも気になってさ。

賢は勉強頑張ってるのかなぁーとか思っちゃってさ。


全然、はかどらないときもあるんだよね、実は。


今は成績、上がってるけどいつ下がっちゃうか分かんないもん。」



『なら、わすれ…「忘れなければいい、とでも言いたいの?せんせ」


俺の言葉は京地によって遮られた。



「分かってるよ。

忘れられないことくらい。


あたし、バカじゃないんだから、それくらい分かってる。


だけど…だけど、もうやってらんないよ。

学校に来れば教室には賢がいて。


夏休み前までは賢の前の席に座って、笑いながら話してたなー

とか、考えちゃうんだよ?


賢の後ろ姿見て、

やっぱり好きだなー

って思っちゃうんだよ?


そんなふうに苦しむくらいなら…忘れた方がいいんだ」


京地が苦しそうにそう言い終えたとき、

突然、声がした。



「真、それは間違ってるよ」













< 400 / 425 >

この作品をシェア

pagetop