職場内恋愛
「あ、うん」
京地は我に返ったようにシャーペンを握る。
『お前…何見てたんだよ?』
「別に」
京地は俺の顔を見ようとはせず、黒板とノートを交互に見ている。
『橋野先生のこと、見てたろ?』
京地の手が止まる。
でもそれは一瞬だけで。
またすぐに動き始める。
「見てないよ、奈々ちゃんのこと。
ただ、たまたま視界に入った。
それだけのこと。」
京地はそう呟き、俺の目を見た。
『お前…なんか知ってんの?』
ふと思った。
さっきの言葉と言い、あの視線と言い、何か…いつもと違った。