憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
ブライアンの両親が軍事関係の会社をしているらしく、関係者のみの航空ショーは、一般公開のものとは違い、実際に飛行機に乗ってみたりココにとっては驚きの時間だった

「どうだった?」

帰りの車内でブライアンがココの顔を覗き込みながら尋ねる

「すっごく楽しかった」

ココの満面の笑みに嬉しそうに微笑むブライアン

「ブライアンって何でも持ってて、何でも知ってるんだね」

ココはネバダに来るのに乗ったジェットを思い出した

「国内でも時差があるくらいだから、西海岸から東海岸に行く時は誰でも飛行機に乗るだろ? うちはその数が多いから、ジェットを買ってしまったほうが便利だったんだよ? それに、ジェットもこの車も自分で買ったものじゃない 全部親の働いたお金だよ」

と肩をすくめるブライアン

「私も留学してるのは親のお金だし・・ でも、もう親孝行は終わってるじゃない」

と笑顔のココ

「なんで? これから親の期待に答えるよう生きていかなくちゃ・・ それが親孝行だろ?」

「子どもって一生分の親孝行を3歳までにしちゃうんだってよ?」

「どういうこと?」

「3歳までは無条件にかわいいけど、それ以降は親を心配ばっかりさせるんだって」

ココの言葉に

「なるほど・・ それはそうかもね」

ブライアンといる時間が多くなるにつれ、時折見せる彼の曇った表情

自分にも思い当たる節はあったし、誰にでもそういう部分はあると思っているココは、それに気が付かないフリをしていたが、さっきの航空ショーでさらに曇っているブライアンを感じたのだ
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