憂鬱な姫君 （姫シリーズVol．5）

びしょぬれで冷えきったココの体は、ゆっくりつかったお風呂と温かいミルクによって暖まっていた

「それで？　俺の携帯に姫花と潤也から鬼のようにある着信と今ココがおれんとこにいるのは繋がってる？」

ココはその言葉に気まずそうに視線を泳がす

「ココ・・・　」

そんなココにため息をつくのだったが

「賢ちゃん、ごめんね？」

昔好きだった女に良く似たこの小娘には敵わない・・とさらにため息が出る

そう此処はロス

ハリウッドの第一線で活躍している日本人俳優　伊藤賢治の自宅

「今、Seattleにいるんだろ？　学校はどうした？」

「ん？　辞めた」

「は？」

「だから、辞めた」

「・・・・」

「私、ここに住む」

「え？」

「だから、ここに住む！　狭かったら地下室でもガレージでもいいと思ってきたけど、流石、賢ちゃん！　これだけ広ければ開いてるお部屋あるでしょ？」

「ま、まぁ・・な」

賢治のその言葉に

「今日からよろしくお願いします」

持っていたカップをテーブルに置き、立ち上がったココは改めて頭を下げた

「え？　は？　ちょ・・ちょっと待て！！」

困惑しているうちに、一緒に住むことになったココに今更慌てても、もう既にその話は終わったとばかりに窓際に歩いていったココは

「それにしてもよく降るねぇ・・」

と窓の外を眺めるのだった