Cleome
萌華に引越し祝いで色々奢らせて、家に戻ると家の前に誰かがいる。
よーく目を凝らして見ると、霄だ。

どうやらこっちにも気付いたらしい。

こんなに早く霄を騙す計画をしないといけないとはな。

「よぉ。」
「あー、さっきのナンパ男じゃん?何か用?」

眉間にシワ寄せてやがる。おもしれー。

「お前、宇海だろ?」
「残念!宇海のいとこだけど?似てるって言われるんだよなぁ〜。」

そう言うと、疑いの眼差しを向けてくる。予想の範囲内。

「君の事は色々聞いてるよ。」
「何て?」
「アホでバカな幼なじみってね。」

いいこと言ったら余計にバレる気がする。宇海がいいこと言うはずないじゃん?

「どこに住んでるんだ?」
「アメリカから帰国してきたとこ。」

ちょっと無理があったか…?

あたしと霄が睨み合っていると、家から琉珂が出て来た。

「あれ?お兄ちゃんどうしたの?」
「なぁ、こいつ誰?」

霄のやつ…うたぐり深いな…。とにかく、琉珂があたしの望む答えを言ってくれるのを祈るしかない。

「いとこ、だよ。」
あたしは見えないようにガッツポーズ。

「ほらな。」
これは騙されただろうな。…ま、後から霄ん家行って正体バラすけど。

「あ、宇海からの伝言。話したいことあるから家に来いだってさ。」

唖然としている霄を尻目に、家に入った。

霄なら絶対、いとこって言った時点で騙されると思ったのになー。
それにしても…琉珂がいとこって言ったときはびっくりした。

キョウダイはやっぱりすごいわ。
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