葬儀屋少女
チリン、チリリン…

「…ん?」

こんな夜中に鈴の音か?

チリリン…

こっちに近づいてくる…?

「はじめまして。」

「!?」

居るはずの無い、女の声がした。

「…誰だ」

再び、鈴が鳴る。
黒いローブを着た、女の表情はよく見えない。
漆黒の髪が夜に、なびいた…。

「どうやって入ってきた!」

「あら、普通に『ドア』からよ」

意味有りげに言う女にはなきぼくろがあった。
月に照らされ、映し出された女の表情―…。

「な、なんなんだよ…」

「貴方様の命、引き取りに参りましたことよ―…」

体の中に女の手が入り込む。
痛みはない。
ただ、なにかを掻き回されるような…感覚。

「うわぁあぁあああ!!!」




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