アナタを振り向かせる。
仕事も終わり、着替えをしていると傍から仕事仲間の陽香(はるか)ちゃんに話し掛けられる。


「周(しゅう)、何か良い事でもあったの? 今日ずっと笑顔だったじゃん。珍しく」


何時も笑顔なのにそんな言い方はないでしょう。でも良い事があったのには間違いない。

否定しても深く探られるから私は素直に教えた。“好きな人が出来た”と。

陽香ちゃんは驚く訳でもなく、“おめでとう”と喜ぶ訳でもなく、ただあっさりと


「そう。それは良かった良かった」


と、ただただ頭を撫でるだけ。それが余計に私のとある気持ちを増幅させる。

陽香ちゃんは興味なさそうでも私は話したい!と言う気持ちだ。

何も言わないから余計に話したくなってしまう。

頼まれもしないのに私は今日の出来事を全て話した。

夢中になって話したそれは、陽香ちゃんからすればマシンガンのようだったに違いない。
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