胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~

満月が不気味な色をしていた。


黄色とオレンジの間のような色。


月の周りには、白い膜が張ってて、幻想的だった。



春の夜風は気持ちいい。


「さくらぁ…いろいろありがとね。さくらがいなかったら私もうやめてたよ。」

「えぇ?そんなぁ。私何もしてないです。ただ先輩に憧れてるだけですよ。」


私は、何も聞いてこないさくらの手を握った。



「私ね、やっぱりたっくんが好き。」


風に吹かれた木々の音が心地いい。


「良かった…ほんとに良かった。やっぱり先輩には、たっくんしかいないですね。」


少し涙ぐむその横顔を見て、私は誓う。


「私、今度こそもう逃げない。ちゃんと向き合って、傷ついてもいいからたっくんから逃げないから。」


うんうんと頷くさくらは、私の手を握り返す。


「だから、さくらも頑張んなよ。大事な友達ならちゃんと話さないと後悔するよ。好きって思える人に出会うのってすごいことだもん。」


さくらは、私の方を見て首を大きく縦に振った。


「明日、ちゃんと話します。明日から、席も近くなるからきっと私の気持ちどんどん大きくなるもん。」



私もさくらも、心の中は不安でいっぱいだった。


本当は、すごく怖い。


だけど、逃げてちゃ前に進めない。




私は、バイトが終わると急いで、あの場所へ向かった。



たっくんが…


いるかも知れないあの繁華街…





< 181 / 498 >

この作品をシェア

pagetop