胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~


先生は、あっという間にパスタを食べ終わり、運ばれたアイスコーヒーを飲む。


先生が話してくれた、その少女の夢。


ぴんきィィ…歌手になるために習い事をしたかったんだって。

それで、自分で金を貯めてた。


今は、親戚の家に下宿しながら学校と歌の練習に励んでるそうだ。


「あいつ、もうすぐオーディションなんだ。いつか、夢が叶うといいけどな。」

「うん。いつか、TVの向こうにいるぴんきィィちゃんを見たいね。」


そんな話をしながら、のんびりとした昼下がりを楽しんだ。

誰も俺を責めなかった。

誰も、俺を問い詰めたりしなかった。


きっと、聞きたいことはたくさんあっただろうに…

怒鳴りたいくらい怒っていただろうに…


先生も直も、俺に何も言わなかった。


きっと、何もかも知ってるはずなのに・・・・・・



何事もなかったかのように接してくれたことがすごく嬉しくて目が潤んだ。


窓の外を見ると、川の傍で日向ぼっこをしている老夫婦が目に入った。



俺は、


やっぱり


ゆかりと生きて行きたいよ。
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