胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
「ゆかりが、龍と付き合ってなかったら…今のゆかりはいない。過去のゆかりがあるから、今のゆかりがある。俺は、過去も全部ひっくるめて…お前を好きになった。」
今日は、魔法にかかったようにスラスラと言葉が出てくる。
音楽のせいか、月のせいか…隆介のせいなのか。
「私も…そうだね。恵さんと付き合ってなかったら、今のたっくんじゃなかったかもしれないもんね。」
ゆかりは、本物の月と湖に映る月を交互に見た。
「俺さ、昨日より今日の方がゆかりが好き。コレ…マジだから。」
「…ごめん。無理しなくていいんだよ…本当にごめんね。携帯なんて見て…」
ゆかりは、涙をこぼさない様に顔を夜空へ向けた。
「無理してない。本当の気持ちなんだ。携帯を見てしまった弱いゆかりも、携帯を見たことを心から反省してるゆかりも…俺は愛してる。」
俺は、上を向いたままのゆかりの頬へそっと口付けした。
「たっくん………私も…今のたっくんが好き。だから、別れていた時期にたっくんが出逢った人達も、たっくんの一部で…その人に出会わなかったら今のたっくんがいないかも知れないんだもんね。過去……乗り越えられるかな。」
ゆかりは、うつむいて唇を噛み締めた。
「でも…私怖いんだ。また…いつか…携帯を見ちゃうんじゃないかって…。もし、今度見たら、たっくん私をフッてくれていいから。お願い……」
ゆかりは頬に一筋の涙を流した。
「ゆかり…… 俺、そんなお前も好きだから。」
俺の耳に付けてたイヤホンを、ゆかりの耳に付けた。
俺は、立ち上がり…
湖の近くへ歩き出す。
「ゆかり!ちょっと目閉じてて。」