胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~


またご馳走になってしまった俺は、深々と頭を下げる。


その俺の頭をコツンと突付く。


「お前の初任給でおごってもらうからぁ。…なんかあったら、ここ電話して!毎回、学校来るのも大変だろ・・・」


先生は、レシートの裏にケー番と自宅の電話番号を書いて、俺に渡した。



「四つ葉のクローバー探しでも、何でも付き合うから。」


優しく微笑んだ先生は、真っ赤な車に乗り込んで手を振りながら去っていった。



どうしてなんだかわからない。

この穏やかな気持ち・・・


モヤモヤした心の中を綺麗に洗い流してくれるような不思議な力。



俺は、そのままゆかりの家でバイクを走らせた。


信号で止まるたびに、月を眺めて息を吐いた。



俺はまだ子供で

ゆかりもまだ子供で




月のうさぎから見た俺達は、


浅い湖でバシャバシャと溺れている子供。



ささいな事で傷つき、不安になり、相手を疑い…


その度、自分を責めて・・・


逃げ出したくなる。




3歩進んでは2歩下がり、時には4歩下がってしまう事もある。


進んだようで、全く進めていなかったり…



もがいた分だけ大人になれると信じて、

苦しんだ分だけ・・・愛が成長してくれると信じて・・・


俺達は

毎日を一生懸命生きる。



答えがどこにあるかなんてわからない。

何が正解かも、わからない。



だけど、見上げた月の真ん中に見えるのは…


大好きなゆかりの笑顔。



それだけは、俺の中ではっきりしている答え。



俺は


ゆかりが好き。
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