胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
沈黙が続いた。
結局、何も話さないまま私の家の近くに着いた。
「俺じゃダメかな?」
野間さんは、私の手を握ったままサイドブレーキに手をかける。
瞬きもしない野間さんの目は、男なんだってすごく感じて…
いくらエッチでも、まだたっくんは男の子なんだって思った。
「彼氏…いるから…」
一度、目を合わすと…
そらすことができないくらいの力のある目。
「知ってて、言ってる。俺は、君が好きだ。」
何人の女の人をこうして口説いてきたんだろう。
女心をくすぐるコツを知っている人。
黙り込む私の肩を引き寄せて、首の後ろに手を回す。
冷静な自分が、今の状況を冷めた目で見ていた。
…あんた、何やってんの?
…もう、たっくんと別れるの?
「ごめんなさ…い。彼氏、好きだから…」
消えそうな声を聞き取る為に野間さんは顔を近付けた。
たっくん以外の人とこんなに近くで話すのは初めてで…
野間さんのくせ毛が私の頬に触れる。
柔らかい髪……
「君は、俺に惹かれてる。俺のこと、好きになりそうで怖いんだ。」
なんて自意識過剰な男なんだってもう一人の私が怒る。
「…彼氏、大事だから…ごめんなさ……」
私の言葉を遮る… 野間さんの唇。
キス
された。
拒めなかった。
硬くて 荒れた唇だった。