胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~



小さな小さなその子猫の手に触れた。





どういう人生を送ってきたんだ?




どんな辛い経験をしてきた?




お母さんはどこ?




どうして一人ぼっちなんだ?








今、安心しきってゆかりのお腹でゴロゴロしてる猫は

きっとゆかりのぬくもりにお母さんの温かさを感じてる。



お母さんとの楽しかった思い出や

お母さんと離れてしまった時の涙や

兄弟達と別れてしまった時の寂しさ…



きっと思い出してる。





もう大丈夫。



お前は一人じゃない。






「……ライムってどう?」



突然ゆかりが、俺の目を真っ直ぐに見つめながら言った。



ライムかぁ…


なかなかかわいい、いい響き。



「いいじゃん!ライムにしよ!!お前は今からライムだぞぉ!」


俺はたった今名前の付いたライムの背中を撫でる。



「漢字も考えた。…この子に私達の夢を託して…『来夢』ってどう?」



俺は大きく頷いて、少しオレンジ色になってきた雲を見つめた。


声を出せなかった。


声を出すと、泣いてることがバレる…




来夢……ライムか。



俺はその名前がすごく気に入った。



ライムが今まで経験してきた辛い出来事を俺とゆかりが忘れさせてやる。



だから、もう安心してぐっすり眠っていいんだよ。


もうお前を驚かす大きな犬も

お前を怯えさせる車も…


もうないから。




俺が守ってやる。




俺がゆかりと来夢を…



この手で 幸せにする…







俺は


美しい空に


大好きな高校の校舎に


見つからない四つ葉のクローバーに…



誓った。









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