求命
まず、男は彼女をビンタした。大概の女はこれで大人しくなる。何とも言えない快楽が男を襲う。体に変化が現れはじめる。両腕を膝で押さえるように馬乗りになっている。主従関係とよく言うが、この体制を見て男が主でないと思う者などいないだろう。男の征服欲をこの体制は満たしてくれる。興奮しきりだ。そして頂点に上り詰めた気持ちのまま、一気に首を折る。心地よい刺激が男の手に伝わる。
果てた。
そのあと、男を何とも言えない感覚が襲ってくる。男なら誰でも経験する感覚だ。こうなるとわかっていても止められない。男とはなんと不浄な生き物なのだろう。
動かなくなった女に興味はない。
ただ、せっかくだから駄賃は貰う事にしていた。女のバッグから紫色の財布を抜き取る。そして、男はその場から消えた。
< 38 / 69 >

この作品をシェア

pagetop