求命
別れの挨拶をし、集会場を皆後にした。
男は一番はじめに集会場を出た。それから、何人かの男達。それから最後に妹を殺された男。そんな順番だった。男が最後に集会場を後にした理由。それは簡単だった。この中に妹を殺した犯人がいると感じていたからだ。
皆、真に犯人を捕まえたいと思っていると思っていた。しかし、実際に集会を行っているとどうしても違和感が消えない。皆が賛同しているはずなのに、どこか不協和音を感じる。それは視線だった。一人の視線がおかしいのだ。とても犯人を捕まえたいと思っているとは思えない。どちらかと言うと、こうして集まっている自分たちを嘲笑でもしようかとしているような視線を感じた。その視線の主が、はじめに出ていった男だ。
何人かの者に声をかけ、男を尾行する事にした。
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