気づけば、あなたが
授業時間になると、兼ねてから準備を進めていた植樹を行う事になった。



クラス全員が少しずつ土をもっていく。




「なんかこんな事してると、もうすぐ卒業なんだね」



「ちょっと淋しい事言わないでよ」


そんな会話が聞こえてくる。



次々とスコップで土がかけられた。


やがて・・・

杏の番。



そして・・・


男子は陽介だった。



さっき目をそらした陽介



どんな顔すればいいの?



杏は陽介の方を見ないようにスコップを持つ。



陽介から何か言ってくれれば、顔をあわせる事が出来るのに


陽介・・・



お・・・い・・・


おい・・・


「海藤、力いれすぎ!」


陽介の声がした。


「えっ!」



腕に力が入ってピーンと伸びていた。



顔が急に熱くなる。


腕の力が抜けそうになった時、陽介の手が重なった。


「何やってんだよ、大丈夫か?」



その言葉を聞いて・・・


やっぱり、目を合わせられない。



涙腺がゆるんでる。



どんな言葉でもいい
陽介の普段と変わらない声が聞きたかった。



陽介の・・・バカ・・・



土をかけ終えても、うつむいている杏の頭を陽介はそっと撫でた。


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