相合傘



やっぱり、気持ち悪いと思われたんだろうなぁ…。
これから来ないということは、今まで通りの静かな生活に戻るんだ。

正直嬉しいけど……、



何だか寂しい気もするかも。



近所で同世代辺りっていったら、アキちゃんくらいだもんな。
なんて考えながら、俺は一人で朝食をとった。
後片付けをして、部屋の掃除や洗濯をちょちょいと済ませた。

今日は大学での講義は無い。
だから気晴らし兼ねて、ショッピングにでも出掛けよう。
新しいカップ欲しいし。

愛用のショルダーに財布を入れて、靴を履いて、

いざ、出発。

玄関の扉を開ければ、ゴンッ!とドアが何かに当たった。
下に視線をやって、ドアの隙間から見えたのは……、

イチゴ柄のピンクい服(?)と、だらりと地に横たわる腕…。



「ぎゃ~~~~~…ッ!!」



俺は中途半端な位置までドアを開けたまま固まった。
すると、のそりと動くソレ。

「……ショ…ォ…?」

ドアが当たったのであろう後頭部を抑えながら、ソレ=アキちゃんは寝言の様に俺の名前を呼んだ。

「あ、アキちゃん…?こんなところで、何してんの?」
「…も、限界……」
「…は?」



そうしてアキちゃんは、ガクリと地にぶっ潰れ、お腹の虫が大きく鳴いた。



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