相合傘

フリフリのついたピンクの服。
茶色の髪を束ねるゴムには、可愛いイチゴちゃん~……。

何で、“アキちゃん”になってんスか。

「ん?だって、街はいろいろと危ないから」



お前が危ないわッ!



別にどーでもいいじゃん、気にしない気にしない。
そうやって笑って言うけど、本性が分かったコッチとしては、かなり気になるんだけど。
…あれ、そういえば……

「ねぇ、アキって何で女装するの?」

訊いてなかったよね、理由。

「…知りたい?」
「うん、出来れば」

だって、ただの変態かと思ってもみたけど、そうじゃない気がする。
男の格好で合コン来てたし、言葉使いもそこまで女々しい感じではない。
それに部屋だって、男の子って感じの部屋だったし。
エロ本持ってるかどうかは知らないけど…って、コラコラ。

「その理由はな…」

アキは天を指差して、俺を視線で捕らえた。

「う、うん、何?」
 
ゴクリと息を飲んで、アパートの敷地から出た時。
バタンッと後ろで車の扉が閉まる音。
反射的に振り向けば、黒いスーツをビシッと着こなし、瞳が窺えない真黒なサングラスを掛けた人が2人。

…な、何なの、この人ら。
 
機密組織を描いた映画にでも出てきそうな人だと思っていると、こっちに歩んできた。
あ、ヤベ。視線送り過ぎた?

「ちょっと、君たち」
「は、はい…」

ドキドキと高鳴る心臓。
そのうちの一人が胸元のポケットに手を突っ込む。
まさか、拳銃でも出すつもり!?

「この人を御存知ないかな?ここら辺に住んでいる筈なんだけど」
 
ヒラリと差し出されたのは、一枚の写真。
…ああ、良かったぁ。拳銃じゃなくて。
写真を覗き込めば、真っ白なスーツに身を包んだその人は、真黒な髪の毛の無造作ヘアーの人が写っていた。



…って、え?


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