相合傘

ガチャリと部屋のドアを開ければ、
ふわりと風が俺を迎えた。

荷物を下ろして、居間を覗けばアキが窓辺ですぅすぅと寝息を立てていた。
 
無防備な顔に、持ちっ放しの雑誌。
自然と笑みが零れる。

風邪を引かない様に薄いタオルケットを掛けてやる前に
俺は雑誌をその手から取った。
ちらりとその雑誌を覗き込めば、ある大手会社の特集をしていた。



「Aikawa?」



Aikawaといえば、日本を代表する財閥グループだ。
そんな大手の中の大手の会社の事を、アキは調べたりしているらしい。
机の上に広げられたままのノートには
何時どんなビジネスを世に出したかとか
歴代の社長の履歴をビッシリ書いていた。

「アキは将来、此処で働こうと思ってんのかな?」

俺は雑誌とノートを閉じて、机の隅に寄せた。
すっかり氷が溶けきってしまったコーヒーは
色が薄くなって、飲んでも味がなさそう。

「…あれ?」

Aⅰkawaって、漢字では…

そう考えていると、ポケットの中の携帯が鳴った。
……うわ、さっそくですか、ヒロヤくん…。


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