君だけに夢をもう一度
「どうしたの? ハトが鉄砲で撃たれた顔なんかして」

敦子が、にこりと笑って正和に言った。

正和は、敦子の変わりように驚いていた。

敦子とは、かれこれ十年ぶりの再会だった。

敦子は、大人の女になっていた。

三十を過ぎた女性だから、大人の女になっているのはあたりまえのことであるが、学生時代の敦子とは、イメージが変わっていい女になっていた。

正和が青山学院大学二年の頃、軽音楽部の新入生で敦子と出会った。

当時、正和はバンドを組んでいた。
敦子は、ピアノが弾けたのでバンドのメンバーになった。

正和と敦子は、同じ五反田に住んでいた。
そのため部活後に一緒に帰ることが多かった。

敦子は色白で端正な美人顔だった。
しかし、学生の頃はあまり化粧をしない、あどけない少女という感じだった。

正和と敦子は、同じサザンファンがきっかけでつき合うようになった。



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