アンバランスな恋心
「ごめん、お姉ちゃん」

「ううん、私こそ
気がつかない女だから」

「スーちゃんは休んでて
僕とマコ姉で用意するよ」

光ちゃんはスーちゃんに
優しく言った

「スーちゃん、妊娠してるんだ
つわりが酷くて、貧血気味らしいよ」

光ちゃんが小声で
私に教えてくれた

え?

スーちゃんが妊娠?
知らなかった

だから瑛ちゃんが
少し苛々してるんだ

スーちゃんが心配なんだね

お祝いしなくちゃ
何がいいんだろう

「マコ、俺はしょうが湯な
甘くないのを作ってくれ」

瑛ちゃんが
大きな声で言ってきた

「全員緑茶だよ
嫌なら、自分で作りなよ」

光ちゃんが
私のかわりに口を開いた

「ねえ、今夜も
部屋に行っていいでしょ?」

「え?」

「いいでしょ?」

「ココさんは?」

「夕ごはんを食べてから
行くから待ってて」

光ちゃんはお茶を
お盆の上に人数分
緑茶を乗せると
歩き始めた

「マコ、しょうが湯」

瑛ちゃんが
光ちゃんの渡した湯呑を
私に差し出した

「え…あ、うん」

「兄貴、自分で作れよ」

「疲れてるんだ」

「マコ姉だって疲れてるんだよ」

「光ちゃん、いいから
甘くないしょうが湯だね」

私は湯呑を持って
キッチンに戻った
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