アンバランスな恋心
テーブルの上に乗っている携帯が
バイブで振るえた

私は小走りで近づくと
携帯の画面を覗き込む

メールだった

光太郎からのメール

『お仕事お疲れ様
明日は会えるかな?』

光太郎の存在が
面倒に感じた

メールを返信するのも
億劫に感じる

私から光太郎に誘っておいて

光ちゃんとの関係が
戻ってきたら
光太郎の存在が邪魔に感じた

私って我が儘な女ね
自分勝手すぎる

『もう会うのやめよう』

私は絵文字も使わずに
文字だけでメールを送信した

すぐに返事がきた

『どうして?
昨日の男が関係してるの?』

『違うわ
ただこのままじゃいけないと
思うから』

『何がいけないの?』

何がって……
だって私は光ちゃんが好き

光ちゃんに似てるから
私は光太郎に近づいただけ

深い関係にはなりたくない

『無理、旅行もやめる
光太郎とも会わない』

光太郎から返事が来なかった

諦めてくれたのかな?
私はほっと息をつく

玄関がドンドンと鳴った
私は驚いて心拍数が跳ね上がった

玄関の鍵は閉めてある

私は体が
固まって動けなくなった
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