【短】君の瞳に…『ホタルの住む森 番外編』
2.陽歌の行方
家を出てから陽歌は、かつての同僚たちに一通り連絡をとり、彼女たちから陽歌が行きそうな場所を聞きだすと、片っ端から出かけてみるということを繰り返していた。
誰よりも亜里沙を知っていると思っていたし、自分でも思いつく限りの所へは探してみた。
だが亜里沙が行きそうな所は全て行き尽くしても、亜里沙の痕跡は見つからなかった。
そこで、とりあえず他の同僚に助けを求め、かつて、亜里沙が友人たちと出かけた場所など、これまで亜里沙が歩いたであろう場所を、軌跡を辿るように尋ねて回ったのだ。
それでも成果はなく、今は陽歌のためにあの丘の写真を求めて旅行していた事を思い出し、記憶を引き出しては写真の場所を順に巡ってみているのだった。
家を出てかれこれ三日になる。
亜里沙への手がかりは全く見つからず、亜里沙を心配する気持ちはどんどん膨らんでゆく。
彼女が何も言わずに失踪するなんて信じられなかった。
何故、姿を消す前に何も話してくれなかったのかと陽歌は心を痛めていた。
もしかしたら、自分のことで精一杯だったが故に亜里沙は相談する事もできなかったのでは無いかと、自分を責めていたのだ。