背中。

あたしと親




蒼からの視点


あたしが 不良になったのは
かっこいいから さぼりたいから

そんなんじゃなかった。

ちゃんと 理由があった。

あたしの父親は政治家で 母親はいない。

あたしが小さいころに離婚して出て行ってしまったからだ


そこから父親は あんまり帰ってこなくなって、
仕事と女の人に埋もれていった。

小さかったあたしは ”しかたない”とおもってたけど
中1になって あたしはわかった。


あたしのことを忘れてる


自分の子供のことを忘れる親なんていない。
だけど 父親は忘れていた。

形は覚えている だけど 脳のなかには 
あたしの記憶はなかった。


そして気がついたときに あたしはぐれた。

髪をそめて ピアスをあけて。

中学の不良の先輩ともつるんでいた。


あたしの存在を思い出してほしかった。

心配かけて あたしのことで いっぱい怒ってほしかっただけだった。

だけどなにも変わらないで、あたしは どんどん
黒にそまっていった。


この高校にはいったのも 親が関係していた。

父親は昔、家族の仲がよかったころ よくこういっていた

「なるべくいい高校にはいって、お父さんとお母さんを喜ばせろな」

だから

だから あたしは 青洲を受けた。


最後の切りふだだった。




「何もかわらないか・・・」


あたしは教室に向かう足をとめ 廊下の中心で 

小さく 呟いた。
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