あの音が聞きたくて
こんな小さな子が、
今から補聴器を付けて生活をするなんて

何て不憫なんだ。
麻衣は思った。

健治は医者の話を聞き、ウンウンとうなずいていた。
麻衣より健治の方が冷静だった。

「ダーダー、アーアー」

リオンが話しかけてくる。
その姿を見ると涙がでそうになった。

泣くわけにはいかない。
リオンのこれからの
ことを考えるのが先だ。

小学校、中学、高校とどうするのか。

普段の生活はどうなるか?
大人になって働けるのだろうか?

考えれば考えるほど、
不安な事ばかりが思い浮かび、
キリがないので、麻衣は

補聴器訓練と幼稚園のこと。

まずはこの二つについて考えることにした。
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