俺様王子の秘めゴト
「もういい分かった。」



…え?



私の顔が恐怖に歪んだ時、どす黒いオーラを出していた魔王…玖城先輩がそう言った。



もういいって…。



玖城先輩はため息をつく。


そして









「2-I姫谷 華南を本日付けで会長補佐を解任する。」








…え?



それって…



「ちょっ啓志?!」



驚く真波先輩。



「華南ちゃんを連れ戻すのが目的でしょ?何自分から解雇処分にしてんだよ!!」



…やっぱり、そうなのね…。



解任、つまり私は辞めさせられたんだ。



玖城先輩の補佐じゃなくなった。



「もういい。」



真波先輩の問いかけにそれしか答えない玖城先輩。



もういい。



その言葉は何故か私の胸に強く突き刺さった。



私をもう怒るのにつかれたのか。



バッチを外した理由がもういらないのか。



それとも…。



けど、言えることは一つ。



私は、捨てられたんだ。



いらなくなった物をごみ箱に捨てるように。



私は玖城 啓志に必要とされなくなった。



それだけのこと。



「啓志!!」



説得をする真波先輩に聞く耳持たずな玖城先輩。



あゆ先輩も三郷先輩も信じられないと驚きを隠せずにいた。



ちなみに元町先輩は平然とした顔で黙々と仕事をしている。



「…分かりました。」



ぼそりと言う。



これ以上もうここにはいたくない。



玖城先輩に解雇通告を受けたことで私のここでの居場所は完全に無くなった。



なら、いつまでもここにいる意味はない。

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