運命のヒト
いきなり起きあがった俺を見て、健二はびっくりしている。


「どないしたんや?」

「健二、下駄箱行くぞ!!」

俺はそれだけ言うと、下駄箱に向かった。



下駄箱に着くなり、俺は話し始めた。

「あいつ、ちゃんと笑ってるか?」

健二は一瞬、驚いた顔をしたけど、大きく頷いた。

「あいつ、もう泣いてねぇよな?」

「泣いてねぇよ!!」

「そっか、よかった・・・」


水嶋という名前を出すことが出来なかった。

水嶋と口にするだけで苦しかったから。


健二は俺の肩に手を置いた。

「優士、教室行こうぜ!」

「俺は行かねぇ・・・」

「何でや?」


何でって言われても・・・。

「俺な、やっと別れが受け入れられた。
 ず~っとモヤモヤしとったんやけどな、
 別れたことずっと後悔しとった・・・・・」

健二は真剣な顔をして俺の話を聞いてくれている。

「でも、あいつ、笑ってんならそれでいい。
 もう、苦しんでないんだったらそれでいい」

「ホンマにそれでいいんか?」

健二、そんな悲しそうな顔すんなって。

「俺な、別れは受け入れたけど、あいつを
 好きな気持ちは何も変わってないんや。
 もし、教室行ったらあいつを見てしまう。
 あいつのこと好きやって気持ちが
 抑えられんくなりそうでな」

「優士・・・」


健二が力強く俺を抱きしめてきた。

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